- 住宅ローンを組みたいんだけど保証人って必要?
- 保証人が必要なケースってどんなとき?
- 保証人になったら解除できない?
住宅ローンを契約するときに、保証人が必要なのか悩んでいる人は多いです。住宅ローンの保証人は、基本的に不要ですが、必要になる場合もあります。よく考えずに保証人を決めると、返済トラブルに巻き込まれるリスクがあるため注意が必要です。
この記事では、住宅ローンの保証人に関するルールについて解説しています。記事を読めば、保証人が必要になったときに、迷うことなく対応できるようになります。
住宅ローンと保証人の基本知識

住宅ローンの保証人は、住宅ローンの契約をしたときに債務者の支払い能力がなくなった場合に金銭面で保証する人です。保証人に関する知識を学ぶことは重要です。保証人について、以下のポイントを理解しておきましょう。
- 保証人・連帯保証人・連帯債務者の違い
- 住宅ローンに保証人が不要な理由
保証人・連帯保証人・連帯債務者の違い
保証人・連帯保証人・連帯債務者は、以下のようにそれぞれ違う意味があります。
- 保証人
- 債務者本人が、ローンの支払いをできなくなったときに、代わりに返済する義務を負う人のことです。保証人には債権者から支払いの請求があった場合に、債務者本人に連絡をするよう求める権利があります。
- 連帯保証人
- 連帯保証人は保証人と同様に、債務者本人の代わりにローンを返済する義務があります。保証人との違いは、債権者から支払いの請求があった場合に断る権利がないことです。債務者本人と連絡がつかなくなった場合、連帯保証人に支払い義務が発生します。
- 連帯債務者
- 連帯債務者は、複数人が共同で借金をする場合に使われる呼び方です。それぞれが借入金の支払い義務を共有しています。連帯債務者なら、誰にでも自由にローンの請求が可能です。
保証人・連帯保証人・連帯債務者は、ローンの返済に対して、責任の範囲がそれぞれ違います。事前に把握しておきましょう。
住宅ローンの契約では、連帯保証人を求められることが多いです。連帯保証人は責任の範囲が広く、債務者本人と同等の返済義務があります。
住宅ローンに保証人が不要な理由
住宅ローンの契約において、基本的に保証人は必要ありません。金融機関はローンの返済がされなかった場合に、残債を回収する手段があるからです。具体的な方法は以下の3つです。
- 抵当権
- 保証会社
- 団体信用生命保険
抵当権とは、債権者が債務者に対して貸し付けたお金を保証するために、債務者の不動産を担保にできる権利です。債務者が住宅ローンの返済ができなくなった場合に、債権者は担保にした不動産を差し押さえて、資金の回収ができます。
住宅ローンを契約時に、保証人を立てる代わりに、保証会社を利用するケースが多いです。保証会社を利用すれば、返済が滞った場合でも、代わりに支払いを行ってくれます。金融機関は上記のような手段を使って、資金の回収ができるため、保証人は不要です。
住宅ローンを契約する際、団体信用生命保険に加入するケースがほとんどです。債務者本人が事故や病気で、万が一の状態になった場合でも、団体信用生命保険を使ってローンを全額支払えます。
住宅ローンで保証人が必要になるケース

住宅ローンで保証人が必要になるケースは以下のとおりです。
- 収入証明が不十分である
- 信用情報に問題がある
- 保証会社の保証が得られない
収入証明が不十分である
安定した収入が証明できない場合、保証人が必要になります。金融機関は、債務者本人の返済能力を重要視しており、ローンをしっかり返済できる人にしか、お金を貸したくないからです。
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以下の職業は収入が安定しないと判断される場合があります。
- 自営業
- フリーランス
- 非正規雇用者
ペアローンや収入合算をする場合は、連帯保証人を立てる必要があります。金融機関に確認して、最適な方法を選択しましょう。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 収入合算
- 一定の収入がある近親者の収入を、債務者本人の収入と合算してローンの審査を受ける方法。夫婦間の収入に差があるときに、収入合算するケースが多いです。収入が少ない方が連帯保証人になります。
- ペアローン
- 本人と近親者のそれぞれが契約者となり、住宅ローンを借り入れる方法。契約する住宅ローンが2本になるので、お互いに団体信用生命保険への加入ができます。双方が連帯保証人になるケースがあります。
夫婦でペアローンを組んだ場合は、離婚のリスクも考えておきましょう。ペアローンを組んだ状態で離婚をしても、ローンの支払いは関係なく発生します。お互いが連帯保証人になるので、どちらか一方の支払いが滞れば、相手の分のローンも支払うことになります。必ずリスクを考慮して、ローンを組みましょう。
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信用情報に問題がある

信用情報に問題がある場合、債権者から保証人を求められるケースがあります。過去にクレジットカードの未払いや、ローンの延滞があると、信用にマイナスの記録が残ります。信用を失うと、保証会社から保証を拒否されてしまうため、連帯保証人が必要です。
過去に破産や個人再生などの債務整理を経験している場合も、信用度は低いです。信用度が下がると、金融ブラックリストに載り、金融機関や保証会社からの信頼を失ってしまいます。
信用情報に問題があると、ローンの申し込み条件が厳しくなります。信用の回復には時間がかかるので、住宅ローンを考えている方は早めに対策をしておきましょう。
保証会社の保証が得られない
債務者本人の返済能力や信用情報によっては、保証会社の保証が得られない場合があります。保証会社と契約できない場合、連帯保証人を自身で用意しなければいけません。
返済能力や信用情報以外にも、以下のポイントが重視されます。
- 高齢である
- 健康面に不安がある
- 業種が保証会社の基準に合わない
- 保証会社の保証上限に達している
保証会社はリスクが高いと判断されると、契約ができません。保証が受けられなかった場合は、自身で保証人を用意するなど、他の手段を考える必要があります。
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住宅ローンの連帯保証人の役割

住宅ローンの連帯保証人は、債務者本人が支払いできなくなった場合に、残りのローンを代わりに支払う義務があります。連帯保証人になるには、一定の収入があることや、信用力があることが重要です。
債務者本人が支払いを滞納した場合に、多大な借金を背負うリスクがあります。債務者と同等の責任があるため、連帯保証人は慎重に選びましょう。
連帯保証人の責任
債務者本人がきちんと支払いをしていれば、連帯保証人がローンを支払う必要はありません。しかし、ローンの支払いを途中で放棄した場合、残りの金額は連帯保証人が支払うことになります。連帯保証人が支払いを行った場合「求償権(きゅうしょうけん)」を使えば、債務者本人にお金を請求できます。
求償権とは、他人の債務を肩代わりした人が、支払った金額を債務者本人に請求できる権利のことです。保証人が代わりにローンを支払ったときに使えるので、万が一のために覚えておきましょう。
求償権があるとはいえ、保証人になるには大きな責任が発生します。保証人を頼まれたら安易に引き受けず、慎重に考えましょう。
連帯保証人に必要な条件
連帯保証人になるためには、いくつか重要な条件があります。1番重要視されているのは「返済能力」です。
返済能力を判断するために、以下のような項目をチェックします。
- 安定した収入
- 信用情報
- 健康状態
- 年齢
- 債務者との関係
上記以外にも各金融機関によって、独自の審査基準があります。具体的な条件は、連帯保証人が必要になったときに、金融機関に確認しておきましょう。
ローン契約のリスクを受け入れられる人でなければ、保証人にはなれません。近親者や親しい友達に保証人をお願いするときは、しっかりとリスクの説明をしましょう。
住宅ローンの保証人から外す方法

保証人や連帯保証人になった場合、外すことは難しいです。
離婚すれば連帯保証人を外せると思っている方が多いです。しかし、離婚を理由に連帯保証人から外れることはできません。金融機関との契約に離婚は関係ないからです。なにもしなければ離婚後も連帯保証人として、借金を背負わされるリスクがあります。
連帯保証人を外す方法は以下の2つです。
- 住宅ローンを一括返済する
- 住宅ローンの借り換えをする
住宅ローンを一括返済する
住宅ローンを一括返済できれば、連帯保証人を外せます。まとまった資金が手元にあって、すぐに連帯保証人を外したい方は、一括返済を考えましょう。
一括返済をする場合、自己資金だけでなく親族からの贈与で返済もできます。一括返済には手数料や違約金が発生する場合もあるので、事前に金融機関に確認しておくとトラブルを防止することが可能です。
住宅を売却して、売却益をローンの一括返済に使うパターンもあります。住宅を売却する場合は、以下の点を確認しておきましょう。
- 売却代金が残債を超える
- 売却にかかる諸費用を計算に入れる
- 金融機関に同意をしてもらう
売却代金が残債を超えなかった場合、残ったローンを払い切るまで保証人を外せないので注意しましょう。まとまった資金が手元にある方は、売却代金に自己資金を上乗せして一括返済もできます。
住宅売却には、金融機関の同意が必要になるケースがあります。事前に連絡をして、話し合いの場を設けてもらいましょう。
住宅ローンの借り換えをする
住宅ローンの借り換えをすれば、連帯保証人を外せます。借り換えとは、他の金融機関から、有利な条件で新しいローンを組むことです。借り換えをすれば、月々の支払いが抑えられることもあります。
借り換えをするには、金融機関による再審査が必要です。1度目の住宅ローン契約時と同様に、信用情報や返済能力をチェックされます。審査に通らなければ、借り換えはできないので気をつけてください。
借り換えの際には返済手数料や、諸費用の支払いが発生します。借り換え先の金融機関に確認をして、手元に資金を用意しておきましょう。市場の金利動向もチェックしておくと、最適なタイミングで借り換えができます。
住宅ローンの保証人に関するよくある質問

住宅ローンの保証人に関するよくある質問をまとめました。
- 保証人が支払い不能になった場合はどうなる?
- 連帯保証人が死亡した場合はどうなる?
保証人が支払いできなくなった場合はどうなる?
保証人がなんらかの理由で支払いできなくなった場合、他の保証人が責任を引き継いで、住宅ローンを返済しなければいけません。保証人が1人だけの場合は、債務者本人が全額支払うことになります。
債務者本人と保証人の、両者とも支払えなくなった場合、預金や住宅の差し押さえが行われます。支払いが難しい場合は、ほかの連帯保証人を探しておきましょう。
保証人代行サービスを利用している場合は、一時的にローンの支払いを立て替えてくれます。保証人代行サービスは、ローンの支払いが免除になるわけではありません。あくまで立て替えてるだけなので、後で請求された金額を支払う必要があります。
連帯保証人が死亡した場合はどうなる?
保証人が亡くなった場合、保証人の債務は遺産として相続人に引き継がれます。支払い義務がなくなるわけではないので注意しましょう。相続人が複数いる場合は、債務が分割されて引き継がれます。
相続人が遺産放棄をすれば、連帯保証人の債務を放棄できます。しかし、住宅ローンの支払い義務がなくなるわけではありません。保証会社が支払いを肩代わりしてくれる可能性もありますが、基本的には債務者本人が支払うことになります。
亡くなった連帯保証人の遺産を債務の返済に使うか、新しい保証人を見つける必要があります。債務者に十分な返済能力がある場合は、保証人なしでローンを継続できることもあるので、金融機関に相談してみましょう。
まとめ

住宅ローンの保証人について、覚えておきたいポイントは以下の3つです。
- 住宅ローンの契約に保証人は原則不要である
- 保証人になったら解除するのは難しい
- 一括返済かローンの借り換えができれば保証人を外せる
住宅ローンでは、保証会社や抵当権があるので、基本的に保証人は不要です。しかし、収支合算やペアローンなど、特殊な事情がある場合は、保証人を立てる必要があります。住宅ローンを契約するときは、保証人が必要かどうか、正しく判断できるようにしておきましょう。
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